クリニカル日光浴

クリニカル日光浴の治療方法は、光線療法そのものです。 光線療法という名称は、聞いただけではわかりにくいと思っていたので、何か良い名称はないかと常々考えていたところ、 最近になって、治療目的の日光浴という意味で、クリニカル日光浴という名称を思いつきました。

クリニカル日光浴はその名のとおり、日光浴の健康パワーを活用して治療を行うわけですが、 クリニカル日光浴を知らない人は、「日光浴で治療?」「日光浴が治療になる?」と思うでしょう。 しかし、一度体験すれば、その素晴らしさを実感できることでしょう。 腰痛や膝痛など体の痛みで悩んでいる方は、試してみ価値はあると思います。 ただ慢性化している場合は、結果が出るまで少し時間がかかるかもしれませんが…。

日光浴の健康パワーは、特別な力ではありません。誰もが生まれながらに持っている能力です。 なぜなら、我々は太陽光線の下で進化を続けてきたわけですから…。 但し、個人の持つ能力であるため、当然、個人差はあります。 例えば、クリニカル日光浴を自宅で実践しているご夫婦がいらっしゃるのですが、 同じ生活環境で暮らしているご夫婦であっても、旦那さんと奥さんでは、回復にかかる時間が全然違ったりするのです。 このご夫婦の場合、旦那さんの方はこちらが驚くほど早く回復するのに対し、奥さんの方は旦那さんほどの結果がでないため、 「何で旦那さんばっかり(回復が早いの)…」と羨ましがっていました。

日光浴の健康パワー

日光浴の健康パワーの具体例としては、日光浴によるビタミンDの生成があります。 ビタミンDは、カルシウムの吸収に必要な栄養素であることはよく知られていますが、 最近の研究により、風邪予防、動脈硬化予防、糖尿病予防、認知症予防など、その作用は多岐にわたることがわかってきています。 今後、研究が進めば、もっと多くの作用が判明するかもしれません。 また、ビタミンDの助けにより吸収されたカルシウムには、骨粗鬆症予防以外にも、高血圧予防、がん予防などの作用があることがわかっています。

日光浴の効果

日光浴の健康パワーには、ビタミンDによる作用のように、光線が当たった部位以外にも作用するもの(間接作用)の他に、 光線が当たった部位に作用するもの(直接作用)があります。 その代表的なものが、代謝の活性化です。 患部に光線を直接当てれば、患部とその周囲の組織の代謝が活性化するので、 損傷した組織の修復力向上や機能が低下した組織の機能回復などが期待できます。 つまり、痛いところや気になるところがある場合は、その部位に光線を当てるということです。 光線を当てる部位がどこであろうと、ビタミンDは生成されるので、もれなく間接作用もついてきます。

光源として光線治療器を使用

クリニカル日光浴では、日光浴と言いつつも、光源として太陽光線ではなく、太陽光線と同等の光を発する光線治療器(カーボンアーク灯)を使用します。 これは、天候、季節、時間、場所などの制限を受けずに治療を行うためです。 光線治療器は、家庭用の医療機器であるため、どなたでもご家庭で好きな時に自分で治療を行うことができます。 また、光線治療器を複数台使用することで、患部を左右あるいは前後から挟むように光線を当てたり、部位によっては3方向から囲むように光線を当てることができます。 さらに、光線治療器は、光線の強度や成分の調節が可能なため、 病気やケガの状態によって最適な光線を選択することで、効率的な治療が可能となります。

当院に来院される方の多くは、ご家庭に複数の光線治療器を準備していて、ご自分で治療を行っています。 ケガや病気は突然起こり、しかも医療機関の受付時間外に起こることもあるものです。 光線治療器の準備は、このような時の備えにもなります。

バランスのとれた食事と適度な運動が大切

クリニカル日光浴は、以下の理由から人を選ぶ治療法だと考えています。

(1)自分の体は自分で治療するという心構えが必要である

(2)それなりのコストを払うだけの経済力が必要である

日光浴の健康パワーを活用するためには、継続的に光線を浴びること以外にも、 バランスの良い食事や適度な運動も必要です。

病気を改善するのは自分の体なのですから、 病気を改善する第一歩は、食事の質と量の改善です。 光線療法で推奨する食事は、穀物、葉、根菜、魚介などの食材を、 生または、蒸す、焼く、茹でるといった調理法で調理したものです。 牛肉、豚肉などの油を多く含んだ食材や、油を多く使用する、炒める、揚げる、 といった調理法は、体を酸化させるので控える必要があります。

もともと自然治癒力の高い人は、 食事の改善と散歩などで浴びる程度の日光浴でも病気を改善できるかもしれません。 しかし、自然治癒力が弱っていたり、食事からの栄養吸収力が弱っている場合は、 専門的な光線照射が必要となるでしょう。

3種類の光を駆使して病気を早期改善

「毎日、日光を浴びていれば、光線療法は必要ないのでは?」 といった質問を受けることがあります。 確かに、健康な人や自然治癒力の高い人は、その程度の日光浴で十分かもしれません。 しかし、既に体調を崩してしまっている人の場合は、 専門的な光線照射を行う必要があります。

スペクトル

ところで、日光をプリズムに通して屈折させると、 虹色に分かれることがよく知られています。 これは、日光には多くの波長の光が含まれており、 その波長によって屈折率が異なるために起こる現象です。

日光に含まれている光のうち、人の目に見えるものを可視光線と呼びます。 この可視光線より波長の長い光を赤外線、可視光線より波長の短い光を紫外線と呼びます。 これらの3種類の光線には、それぞれ以下のような特徴があります。

赤外線 増血作用があり、照射部位の血行を促進します。
可視光線 透過作用があり、内臓に達して内臓の働きを活発にします。
紫外線 殺菌作用があり、人体に有害な細菌を殺菌します。また、人間の皮膚には、 紫外線を吸収してビタミンDを生成する機能があります。 このビタミンDはカルシウムの吸収に不可欠なビタミンであり、 さらに最新の研究では、筋力増強作用や癌の抑制作用なども報告されています。

光線療法では、この3種類の光の含む割合の異なる光線を使用し、 それぞれの光の特徴を駆使して病気の早期改善を図っていきます。 以下に一般的な治療例を示します。

【例1】 頭痛、腹痛、腰痛、膝痛など疼痛のある場合
疼痛部位に赤外線を多く含む光線を照射します。赤外線の増血作用により 患部の血行を改善して発痛物質を除去し、疼痛の緩和を行います。 同時に酸素や栄養の豊富な血液が送り込まれるので、患部の修復も促進されます。
【例2】 内臓の働きが弱っている場合
可視光線を多く含む光線を照射して、内蔵の働きを活発にしていきます。
【例3】 擦り傷、切り傷、やけどなど皮膚に損傷がある場合
まず紫外線を多く含む光線を照射して患部の殺菌を行います。 次に赤外線を多く含む光線を照射して、疼痛の緩和と患部の修復の促進を行います。

※上記の例は、症状に対する治療例を示したものであり、 実際には全身照射を組み合わせて行う必要があります。

医療用カーボン 医療用カーボン

医療用カーボン

上記の3種類の光の含む割合の変更は、医療用カーボンによって行います。 医療用カーボンは4種類あり、それぞれ赤外線を多く含む光、可視光線を多く含む光、 紫外線を多く含む光、3種類の光を均等に含む光を発光します。

犬や猫などの病気の改善にも有効

光線療法は、光線を照射するだけの自然療法ですから、 当然、犬や猫などの哺乳動物にも使用できます。 実際に光線治療器を購入して、愛犬、愛猫の治療を行っている人もいます。 犬や猫などの動物は、人間よりも自然治癒力が高いようで、 光線療法による効果は人間よりも高い傾向があるようです。